「誰のおかげで生活できてる(飯が食える)と思ってるんだ」はモラハラになる?
- 執筆者弁護士 山本哲也

夫から次のような言葉をかけられていませんか?
「誰のおかげで生活できてると思っているんだ」
「主婦は気楽でいいよな」
「子どもの面倒ぐらいちゃんと見ろ」
これらの発言はすべてモラハラに該当し得ます。モラハラ夫の発言は妻を精神的に追い詰める卑劣なものです。場合によっては離婚できる可能性もあります。
本記事では、モラハラ夫の典型的な発言例、モラハラを理由に離婚できるかなどを解説しています。夫からの暴言にお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。
モラハラ夫が発する言葉の具体例

モラハラ(モラルハラスメント)とは、言葉や態度によって精神的に苦痛を与える行為です。身体的な攻撃こそ加えていないものの、心を深く傷つける卑劣な行為といえます。
モラハラ加害者は、相手の人格を否定して自分の方が立場が上だと示し、支配して思い通りにしようとします。被害を受けている側も、自分の方が悪いのだと思い込まされ、なかなか反論できないケースが多いです。
収入が多く経済的に優位な立場にある夫が、収入がない・少ない妻に対してモラハラをするのが典型的なパターンといえます。具体的な発言例は以下の通りです。
【参考】モラルハラスメント(モラハラ)
【経済的な優位性を示す】
- 誰のおかげで生活できてると思っているんだ
- 飯が食えるのは俺が稼いでるからだ
- 他人の金を自由に使えていいな
- 別れて困るのはお前の方だぞ
【相手の立場や仕事を貶める】
- 主婦は気楽で(暇で)いいよな
- 女は家のことだけやっとけ
- お前のしてる仕事なんて大したことない
【家事・育児ができていないと責める】
- 掃除もまともにできないのか
- こんなまずい飯を食わせるな
- 子どもの面倒くらいちゃんと見ろ
【外見を侮辱する】
- よくそんな恰好で外を歩けるな
- ブサイクだな
- 少しは痩せたらどうだ
【家族や友人を否定する】
- 親が親なら子も子だな
- ろくな教育を受けていない
- レベルの低い友達だな
【責任があると思わせる】
- 俺をイラつかせるな
- お前のせいでこうなってるんだぞ
- 何が悪いかわかってるのか
【脅迫する】
- 出ていけ
- 殺すぞ
- 言うことを聞かないなら離婚だ
こうした発言を受けている場合には、モラハラに該当する可能性が高いです。ひとりで悩まずに周囲の人や専門家にご相談ください。
【参考】モラハラチェックリスト
モラハラを理由に離婚できる?

モラハラ被害を受けていると「こんな人とは一緒にいられない」「離婚したい」とお考えになるでしょう。しかし、モラハラの事実があっても簡単に離婚できるわけではありません。
不貞などと異なり、法律上、モラハラは離婚理由として明確には定められていません。そのため「裁判離婚」を認めてもらうには「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)が存在するといえる必要があります。モラハラの事実だけでなく、別居期間が長期に及んでいるかなど、様々な事情を総合的に考慮して離婚理由があるかが判断されます。
たしかに、夫婦間の話し合いにより決める「協議離婚」や、裁判所での調停を通じて行う「調停離婚」も可能です。しかし、協議離婚や調停離婚では相手の同意が不可欠になります。一般的にモラハラ夫は妻を支配したままでいたいと考えており、離婚までは望んでいません。加えて、自分の非を認めたがらないため、モラハラを理由に離婚に応じてくれると過度に期待しない方がよいでしょう。
最終的に裁判で離婚が争われると想定すると、単に「暴言があった」というだけでなく、モラハラの内容や頻度、加えて別居期間など様々な事情を踏まえて「婚姻を継続し難い重大な事由」があるといえるかがポイントになります。
モラハラ発言は日記などに残しておくと良い

裁判離婚を見すえると、モラハラの客観的な証拠は非常に重要です。協議離婚や調停離婚においても、証拠がなければ相手からモラハラの事実を否定されてしまうでしょう。
証拠の例としては以下が挙げられます。
- 発言を録音したデータ
- メールやLINEで送られたメッセージ
- 自分で書いた日記
日記の場合には、信用性を高めるために、モラハラの内容だけでなく日常的な出来事も記載し、改ざんできないボールペンなどで書くようにしましょう。
裁判所に提出できるように、日頃から証拠を準備しておくのが重要です。
【参考】モラハラ離婚を有利に進めるために! 証拠とその集め方
モラハラ離婚のご相談は弁護士へ

ここまで、モラハラ夫の発言例や離婚の可否、証拠などについて解説してきました。
「誰のおかげで生活できてる(飯が食える)と思ってるんだ」「主婦は気楽でいいよな」「子どもの面倒ぐらいちゃんと見ろ」といった発言を日常的にされていると、離婚できる可能性があります。証拠を残しておくようにしましょう。
モラハラ被害を受けている方は、弁護士法人山本総合法律事務所までご相談ください。
当事務所は、群馬県内でも規模が大きい弁護士事務所のひとつです。群馬・高崎に密着して、地域の皆様から離婚に関する数多くの相談を受けて参りました。ご事情を伺い、モラハラに該当するか、離婚できるか、どう行動すればいいかなどをアドバイスいたします。ご依頼いただければ、証拠を集めて法的に説得力のある主張ができます。相手・裁判所とのやり取りや各種手続きを任せられ、精神的なストレスを軽減できる点もメリットです。
「夫の発言がモラハラにあたるのかわからない」「離婚できるのか知りたい」などとお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。