男性が離婚協議を有利に進めるには

更新日:2024/10/11

「妻と離婚に関してもめている」「離婚は男性に不利になりやすいらしい」などとお悩みではないですか?

金銭の支払いを強いられる、親権を取得されてしまうなど、離婚する際に男性が苦しい立場に置かれてしまうケースは多いです。とはいえ、一方的に不利な条件で離婚する必要はありません。正しい知識を身につければ、ご自身の意向も反映して離婚協議を進められます。

この記事では、男性が離婚問題に直面した際に考えるべきポイントや、妻との話し合いの進め方について解説しています。離婚に関して悩みを抱えている男性は、ぜひ最後までお読みください。

男性が離婚問題に直面した際に考えるべきポイント

チェック

男性が離婚する際には、金銭面や子どもに関する条件で問題が生じやすいです。損しないために、以下のポイントを知っておきましょう。

財産分与

離婚する際には財産分与が必要になります。たとえ夫名義であっても、婚姻後に取得した財産は夫婦の協力によって築いたと考えられるため、基本的に財産分与の対象となります。原則として1/2ずつに分けるため、夫から妻に財産を渡さざるを得ないケースが多いです。

現金・預金は分けやすいですが、特に問題になりがちなのが自宅不動産です。売却してプラスになるのであれば問題は少ないですが、現実には、ローンが残る、妻が居住を希望するなどで、しばしばトラブルのもとになります。ローン残高や評価額を踏まえて、扱いを十分に検討する必要があります。

なお、特有財産に該当すれば財産分与の対象にはなりません。特有財産になる例としては、独身時代に築いた財産や、相続により取得した財産が挙げられます。こうした財産を分けるように主張されたとしても、受け入れる必要はありません。

財産分与は、対象財産を漏れなくリストアップしたうえで、公平にするようにしましょう。

【参考】財産分与について

婚姻費用

離婚に至る過程で男性が金銭面で特に気をつけるべきなのが、婚姻費用の問題です。

婚姻費用とは、夫婦と子どもが通常の社会生活を続けるために必要な生活費です。婚姻費用は収入に応じて負担するとされています。金額の目安は裁判所が示しているので、参考にしてください(参考:養育費・婚姻費用算定表|裁判所)。

子どもだけでなく妻の生活費も含んでいるため、婚姻費用は養育費よりも高額になります。たとえ別居中であっても、妻が専業主婦やパートタイマーなどで収入が少なければ、離婚するまで相手の生活費を負担しなければなりません。

高額な婚姻費用を受け取れるため、離婚協議が長引いてもよいと考える女性もいます。婚姻費用を支払い続けないために、早めに離婚できるように話を進める選択肢も考えられます。

【参考】婚姻費用

慰謝料

不貞・DVなどがあれば、離婚に際して慰謝料を支払わなければなりません。

もっとも、法外な金額を要求されていたり、そもそも支払い義務がなかったりするケースも多いです。「悪いことをしたから相手の言い値を支払うしかない」「離婚には慰謝料が不可欠」などと考えないようにしてください。

【参考】【Q&A】離婚の慰謝料はどうやって決まるのか教えてほしい

親権・面会交流

未成年の子どもがいるときには、親権も大きな問題になります。現在の法律では離婚後は単独親権となり、親権者を決めないと離婚できません。

最近は親権の取得を希望される男性も多いです。十分な監護実績がある、現在子どもと生活を続けている、実家の両親のサポートがあり今後の子育て環境が整っているなど、条件が良ければ男性が親権を獲得できるケースもあります。

とはいえ、女性が親権を獲得する事例が多いのが実情です。特に子どもが幼い場合や、妻が子どもを連れて別居した場合には、男性が親権を得るハードルが高くなります。

妻に親権を譲らざるを得ないときには、面会交流について決めておくのが重要です。親権者ではなくなっても父である事実に変わりはなく、子どもと面会する権利があります。頻度、時間、場所、子の引き渡し方法などを定めておくようにしましょう。

【参考】父親は離婚時に親権者になれますか?

養育費

子どもに関しては、離婚後の養育費の金額や支払い方法も決定しなければなりません。

離婚までの婚姻費用と同様に、離婚後の子どもの養育費も収入に応じて負担する必要があり、男性が親権者となった元妻に支払うケースが多いです。裁判所が両親の収入や子どもの人数・年齢に応じて目安を示していますので、協議離婚する際にも参考になります(参考:養育費・婚姻費用算定表|裁判所)。

たしかに、義務があれば男性が養育費を負担しなければならないのは事実です。ただし、養育費はあくまで子どものための費用であり、妻の要求にしたがって必要以上に負担する義務まではありません。後で争いにならないように、決まった金額や支払い方法を書面で明確にするようにしてください。

【参考】養育費

妻との話し合いの進め方

夫婦の話し合い

離婚の話し合いの際には、まずは十分に話を聞いて、妻の主張を理解するのが重要です。とはいえ、対立が激しかったり、相手が感情的になっていたりして、話し合いにならないケースもあるでしょう。

話し合いで困った際には、以下を参考にしてください。

話し合いが難航した場合

話し合いが進まないときには、離婚調停を申し立てるのがひとつの選択肢になります。

調停は、裁判所でする話し合いです。第三者である調停委員を介して進めら、妻と直接話す必要はありません。夫婦だけでの協議が難しくても、調停の場では双方が冷静になり、話し合いが進むケースがよくあります。

前述の通り、離婚しない状態が続くと、別居していても高額な婚姻費用を払い続けなければなりません。婚姻費用を抑えるためにも、調停を申し立てるなどして離婚に向けて具体的な行動を起こすのは有効な方法です。

【参考】婚姻費用分担義務とは何ですか?

一方的な要求を突き付けられている場合

財産の大半を分けるように求めてくる、法外な養育費を請求してくるなど、相手が一方的な要求を突き付けてきた結果、話し合いが停滞しているケースもあるでしょう。

法的に請求できる範囲を理解させる必要がありますが、普通の話し合いができない相手であれば、自分だけで対処するのは困難です。弁護士への相談・依頼をご検討ください。

男性が離婚問題を弁護士に相談するメリット

男性が離婚問題を弁護士に相談するメリット

離婚問題に関して男性が弁護士に相談・依頼すると、以下のメリットがあります。

一方的に不利な条件で離婚するのを防げる

離婚問題においては、一般的に妻の方が対策を練っているケースが多いです。妻に押されて、要求をそのまま受け入れてしまう男性もいらっしゃいます。すでに妻が弁護士に相談・依頼している場合もあるでしょう。

男性が弁護士に相談すれば、妻の要求が不当でないかがわかります。男性側からできる主張も教えてもらえるため、一方的に不利な条件で離婚する事態を避けられます。

精神的なストレスが軽減される

妻との話し合いが大きなストレスになっている方も多いでしょう。特に、感情的になっている妻への対応は難しいはずです。中にはモラハラを受けてきた方もいらっしゃるかもしれません。

弁護士に依頼すれば、相手との交渉を任せられます。相手と直接やりとりせずにすみ精神的な負担を減らせるのも、弁護士に依頼する大きなメリットです。

時間をとられずにすむ

離婚の話し合いには時間がかかります。特に調停になっていると、当日の出席だけでなく事前準備にも大きな時間を割かれてしまいます。仕事で忙しい中で慣れない作業をするのは、大変な負担でしょう。

弁護士に依頼すれば、裁判所への証拠や書面の提出を任せられます。調停そのものを有利に進めるだけでなく、時間を節約する観点からも、弁護士に頼るのは有効な手段です。

【参考】調停離婚を弁護士に依頼するメリットとは?知っておきたいポイントを解説

男性の離婚の解決事例

妻が突然家を出て行き、弁護士から通知が届いたため、こちらも弁護士をつけたケース

この事例は、性格の不一致を理由に夫から離婚を切り出した結果、妻が家を出て行き、弁護士を通じて婚姻費用の支払いを求める通知を受けたことから始まります。

相談者は、婚姻費用の金額が妥当かどうか判断がつかず、弁護士に交渉を依頼しました。

双方が離婚に同意していたため、財産分与などの条件を交渉し、適正な婚姻費用と退職金を含む財産分与について公正証書を作成し、条件をまとめて離婚が成立しました。

【参考】妻が突然家を出て行き、弁護士から通知が届いたため、こちらも弁護士をつけたケース

妻が弁護士を入れて調停になった事例で、弁護士に依頼して適切な婚姻費用を認めさせたケース

この事例では、妻が夫の育児に不満を持ち、弁護士を通じて離婚と婚姻費用の調停を申し立てました。

夫も弁護士を依頼し、婚姻費用の適正な金額を主張するとともに、調停内で養育費の請求を妥当な範囲に収めることができました。

親権は妻側が得ましたが、夫は調停中も親権取得の意志と子どもたちとの面会を希望し、父親としての責任感を示しました。

その結果、婚姻費用と養育費について適正な条件で合意が成立しました。

【参考】妻が弁護士を入れて調停になった事例で、弁護士に依頼して適切な婚姻費用を認めさせたケース

弁護士に依頼して養育費、面会交流、財産分与について公正証書を作成し、離婚成立した事例

40代男性の依頼者は、妻の浪費癖やモラハラにより離婚を決意し、弁護士に相談しました。

妻は離婚条件を公正証書に残すことを求めており、弁護士が代理人として公正証書の作成手続きを行いました。

すでに合意済みの条件をもとに離婚協議書を作成し、妻の希望により先に離婚届を提出。

その後、公正証書を作成することで、円満に離婚が成立しました。

迅速な対応により、依頼後2ヶ月で手続きが完了しました。

【参考】弁護士に依頼して養育費、面会交流、財産分与について公正証書を作成し、離婚成立した事例

離婚問題でお悩みの男性は、弁護士法人山本総合法律事務所までご相談ください。

弁護士一同

当事務所は、群馬県内でも規模が大きい弁護士事務所のひとつです。これまで、群馬・高崎に密着して、地域の皆様から離婚に関する数多くの相談を受けて参りました。男性特有の悩みに寄り添いながら、徹底的にサポートいたします。

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