【Q&A】配偶者に勝手に離婚届けを出されそうな時の対策は?
- 執筆者弁護士 山本哲也
離婚について双方が納得していないのに、配偶者が勝手に離婚届けを出してしまう可能性がある場合、不受理申出制度があります。
市区町村役場に離婚不受理届を提出しておくことで、勝手に離婚届を出されてしまう事を阻止できる制度です。
離婚不受理届の利用方法について、群馬県高崎市の弁護士が解説します。
1.離婚届は形式さえ整っていれば受理されてしまう
離婚届は、夫婦間での離婚の合意が成立してから離婚届に夫婦と証人2人が署名・押印し、役所に提出するのが通常の流れです。しかし、離婚届を受理する役所としては、記載要件について確認するにとどまり、夫婦の離婚の意思を確認する手続きは特にありません。
そのため、夫婦の一方が離婚に同意していないような場合でも、書面の形式が整っていれば受理されることになり、形式的には離婚が成立してしまいます。
2.一度成立した離婚を訂正するには裁判所での手続きが必要
形式的にでも離婚が成立してしまうと、戸籍修正するためには、家庭裁判所での調停や訴訟の手続きによる必要が出てくるため、相当の手間と時間を要することになります。
3.離婚届の不受理申出制度とは?
そこで、配偶者が勝手に離婚届を出す可能性があるような場合、離婚届の不受理申出制度を利用する方法が考えられます。
この制度は、本人の意思に基づかない届け出が受理されることを防止するための制度であり、不受理の申出が受理された場合、離婚届が勝手に提出されても受理されないことになります。
4.不受理申出制度の利用方法
不受理の申出は、原則として本人が直接窓口に届け出る必要があり、郵送することはできません。提出先としては、申出人の本籍のある市区町村役場になりますが、本籍地以外の市区町村役場に申出を行っても、書類などは本籍のある役場に送られる仕組みになっているので、本籍地以外の市区町村役場に提出してもかまいません。
ただ、離婚届の不受理申出の効力が生じるのは、本籍地の市区町村役場で申出が受理されたときになります。そのため、本籍地の役場に郵送中に離婚届が提出された場合、離婚届が受理されてしまうので注意が必要です。
なお、不受理申出には有効期限がありませんので、一度申し出ると取り下げるまでは有効となります。
5.離婚前に条件を良く話し合おう
夫婦が抱える問題は様々で、望まぬ離婚を配偶者に迫られて悩んでいる方や、離婚についての話し合いが難航している方などもいらっしゃるかも知れません。
いずれにせよ、養育費や財産分与、慰謝料等の金銭面についての取り決めは後で揉める事の無いようにしっかりと話し合っておくべきでしょう。
「何を話し合えばいいのか分からない」
「相手が話し合いに応じてくれない」
「今後どうしたら良いか分からない」
こういったお悩みをお持ちの方は、離婚問題に詳しい専門家に一度ご相談されることをおすすめします。第三者に相談することで、新しい解決策が見えてくるかも知れません。
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