離婚の原因は何であれ離婚は認められるのですか?
- 執筆者弁護士 山本哲也
一見うまくいっている様に見える結婚生活も、お互いの性格や価値観が合わないために、これ以上一緒に暮らす事は難しいという悩みを抱えている方は多くいらっしゃいます。
例えば、給料もきちんと家計に入れる、浮気はしない、暴力もふるわない夫と、「性格が合わない」「価値観が合わない」といった理由で離婚できるのでしょうか?
群馬県高崎市の弁護士が解説します。
離婚の原因
協議離婚や調停離婚、審判離婚の場合は、離婚の原因が何であっても手続きを進める事は可能です。
ただ、訴訟で離婚を求めるときは、法律上の離婚原因があるといえることが必要です。
離婚の流れ
1.協議で離婚する
協議離婚は、夫婦が話し合って離婚届を作成し、その離婚届が受理されることで成立します。
そのため、相手が離婚に応じない場合は離婚できません。
協議がうまくいかない場合は、裁判所に調停を申し立てます。
2.調停を申し立てて家庭裁判所で調停を行う
夫婦の一方が離婚に応じない場合、調停を申し立て、調停の場で話合いを行います。
話合いには調停委員が同席しますが、夫婦が顔を合わせることはなく、夫婦がそれぞれ入れ替わりに部屋に入り、調停委員が別々に話を聞きます。その上で、争いを解決するよう助言します。
調停で、お互いが離婚に応じることとなれば、調停離婚が成立します。
したがって、調停で離婚をする場合も、離婚原因は問われません。
3.審判離婚について
調停が成立しなかったときに、裁判所が離婚を決定するのが審判離婚です。この場合は、夫婦の一方が離婚に応じない場合でも離婚が成立します。
ただ、審判離婚は、当事者の異議申立てがあればその異議の理由を問わず効力が失われてしまう等の問題点があることから、実際はほとんど利用されていません。
4.調停や審判のいずれも不成立の場合は裁判で争う
調停(審判)をしても離婚が成立しなかった場合は、離婚を求めて裁判を起こすことになります。
裁判では、法律で定められている離婚原因があると判断されれば、離婚が認められます。
民法で定められた離婚原因は、以下の通りです。
①配偶者に不貞行為があった時
②配偶者から悪意で遺棄された時 ③配偶者の生死が三年以上明らかでない時 ④配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがない時 ⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事由のある時 |
上記の理由に該当すれば離婚が認められる可能性があります。
性格の不一致や価値観の相違では離婚できない?
民法770条1項は1号から5号に離婚原因を挙げていますが、「性格が合わない」「価値観が合わない」といった原因は1号から4号までの離婚原因には当たりません。また、これだけでは5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にも当たるとはいえず、離婚が認められるのは難しいでしょう。
相当の別居期間があれば離婚できる
しかし、これに加えて夫婦の間に相当期間の別居がある場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」があると判断され、裁判で離婚判決が得られる可能性があります。
なお、協議離婚や調停離婚が難しそうな場合であっても、すぐに訴訟を提起することはできず、裁判の前に調停を申し立てなければなりません。これを調停前置主義といいます。
相手ときちんと離婚し、また、その際、財産分与等について適切な条件とするために、一度、離婚事案について経験豊富な弁護士に相談されることをおすすめします。
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