離婚事例 会社経営者の場合
- 執筆者弁護士 山本哲也
夫が会社経営者、妻が専業主婦の事案です。
当事務所は、夫から離婚調停の申し立てを受けていた妻から依頼を受け、受任しました。
そして、調停に出席し、相手方である夫(の弁護士)に対し、
①自らの経営する会社の株式を含む全ての財産を開示するよう求めたところ、十分な回答が得られませんでした。
また、
②別居後未払いとなっていた婚姻費用を支払うよう求めたところ、夫(の弁護士)は何かと理由を述べ支払いを拒絶しました。
さらには、
③夫がなした不貞行為(不倫)の慰謝料を請求したところ、夫は、(かつては、妻に対して認め謝罪していたにもかかわらず)不貞行為自体がなかった、と主張してきました。
それゆえ、調停は不成立となり、訴訟に移行することになりました。
この点、夫(の依頼した弁護士)が訴訟提起をしてきましたので、当事務所は反訴(その訴訟手続きの中で訴え返すこと)で応戦しました。
当該訴訟手続きにおいて、
①裁判所の訴訟指揮を求めることにより、夫の経営する会社の株式の数や保有割合等を明らかにさせるとともに、会社の会計書類を提出させて株式の価値を算定(当事務所の提携する会計専門家の協力を得て)し、その他の財産を含めて数千万円の支払い判決を得ました。
また、
②未払い婚姻費用についても、全額の支払い判決を得ました。
さらに、
③夫に対する当事者尋問において、不貞行為を推認させ得る供述を得て、慰謝料の支払い判決を得ることもできました。
この第一審の判決につき相手方である夫は不服であるとして控訴してきましたが、控訴審の裁判官も、第一審の判決内容を概ね支持する旨示唆しました。
ただ、夫が任意に支払わない場合の強制執行の困難性(不動産を売却する必要がある等)を考え、妻に非常に有利な内容で和解を成立させ、本件を終えました。